【自宅でできる!】睡眠時無呼吸症候群の検査方法とは?費用・手順・おすすめ機器を徹底解説

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群の定義と種類

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる、または浅くなる病気です。無呼吸とは、10秒以上呼吸が止まる状態を指し、これが1時間に何回起きるかを表す「AHI(無呼吸低呼吸指数)」で重症度を判定します。

SASには主に以下の3つのタイプがあります:

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA):のどの空気の通り道(気道)が塞がることで起こる。最も一般的。

  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA):脳から呼吸指令が出なくなるタイプ。

  • 混合性睡眠時無呼吸症候群:上記2つが混ざったタイプ。

特にOSAは中高年男性、肥満体型の人に多くみられますが、女性や子どもにも起こりうるため、「いびき=単なる習慣」ではなく病気のサインかもしれないと認識することが重要です。

なぜ検査が重要なのか

SASは日中の強い眠気や集中力の低下を招くだけでなく、高血圧・心不全・脳卒中・糖尿病などのリスクを高めるとされています。しかも、本人が気づかないうちに進行するため、早期発見と対策が求められます。

しかし、病院で一泊する検査(終夜睡眠ポリグラフ検査=PSG)は時間や費用の面でハードルが高いと感じる人も多いのが現実です。そこで注目されているのが、自宅でできる簡易検査です。最近では、病院から貸し出されるキットや、ネットで注文できる検査サービスも登場し、手軽に検査を受けられる環境が整ってきています。

次の章では、そんな「自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の検査方法」について詳しく解説していきます。

自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の検査方法

簡易検査(簡易PSG検査)とは?

自宅で行える検査の代表的な方法が、**簡易終夜睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)**です。この検査は、医療機関から貸し出された専用の検査機器を用いて、自宅で一晩寝るだけで、睡眠中の呼吸状態を記録できるものです。

主に以下の項目が測定されます:

  • 呼吸の流れ(鼻に装着したカニューレ)

  • 血中酸素飽和度(指に装着したパルスオキシメーター)

  • いびき音

  • 胸や腹部の動き(バンドを使用)

  • 心拍数など

これらのデータから、無呼吸の回数やその影響を評価し、SASの疑いがあるかどうかを判断できます

検査キットの仕組みと測定項目

自宅検査キットは、基本的にコンパクトで装着が簡単にできるよう設計されています。機器は一晩装着するだけで、自動で記録を取り、翌日返却するだけで結果が医師に届く仕組みになっているものが一般的です。

データは専門医が解析し、結果は後日対面やオンラインで説明を受けられます。

なお、簡易検査では「睡眠状態の脳波」までは測れないため、無呼吸の重症度が不明確な場合や、より詳しい評価が必要な場合は、病院での精密PSG検査が勧められることもあります

自宅検査のメリットとデメリット

自宅でのSAS検査には、以下のようなメリットがあります:

  • 病院に泊まらずに済むため、気軽に検査を受けられる

  • 普段通りの環境で睡眠をとるため、自然なデータが得られやすい

  • 通院が難しい人や、仕事で忙しい人に最適

  • 健康保険が適用され、自己負担も軽め(3割負担で3,000円〜6,000円程度)

一方、デメリットとしては、

  • 睡眠の深さや質まではわからない

  • 測定機器の装着がうまくできないとデータ不良になることがある

  • 中枢性の無呼吸など、特殊なタイプの検出には不向き

といった点もあります。

したがって、まずは簡易検査でスクリーニングを行い、必要に応じて精密検査を受けるという流れが一般的です。

自宅で使える検査機器やサービス例

医療機関から貸し出される機器

現在、日本国内では多くの医療機関が、自宅で使える簡易PSG検査機器の貸し出しに対応しています。患者は診察を受けたうえで機器を受け取り、自宅で一晩使用したのちに返却する流れです。
検査機器は小型で扱いやすく、鼻にチューブを付けて呼吸を測定したり、指先にクリップを挟んで酸素濃度を測るだけというシンプルな構造のものが一般的です。

保険適用であれば、自己負担は3割で数千円程度と手頃。医師が結果を解析するため、信頼性が高く、診断にも直結しやすい点が大きなメリットです。

市販やオンライン購入できる検査キット

近年では、通販やオンラインで手に入る睡眠検査キットも増えてきました。たとえば、民間の検査サービス業者が提供する「郵送検査キット」は、以下のような特徴があります。

  • 注文後に検査キットが自宅に届く

  • 指定された方法で装着し一晩計測

  • 測定後はポストに返送するだけ

  • 数日後、Webや郵送で結果を受け取れる

価格は保険が使えないため1万〜2万円前後が相場ですが、診療予約が不要で、完全に非対面で完結する点が多忙な現代人に支持されています。

ただし、結果をもとに治療を進める場合は、医療機関での再診断が必要となるケースも多くあります

スマートウォッチ・アプリとの違い

最近では、Apple Watch や Fitbit、Garmin などのスマートウォッチを用いたいびき・睡眠のセルフモニタリングも話題です。心拍数・酸素飽和度・睡眠時間などを計測でき、専用アプリと連携することで、ある程度の傾向を把握することができます。

しかしながら、これらは医療用の検査機器ではないため、診断には使えません。あくまでも「気になる兆候を発見するための補助ツール」として使うのが適切です。

医師の診断や治療を受けるためには、正規の簡易PSG検査や精密検査が必要です。

検査後の流れと診断方法

検査結果からわかること

自宅での簡易検査が終了すると、記録されたデータは医療機関または検査サービス会社に送られ、専門の医師や技師が解析を行います。
検査結果からは、以下のような情報が得られます:

  • 一晩のうちに何回無呼吸があったか(AHI:無呼吸低呼吸指数)

  • 酸素飽和度(SpO2)の低下具合

  • 無呼吸や低呼吸がどのタイミングで起きたか

  • いびきの有無や強度

AHIの数値によって、睡眠時無呼吸症候群の**重症度(軽症・中等症・重症)**が判定され、今後の治療方針を決定する重要な手がかりになります。

必要に応じて行う精密検査(PSG)

簡易検査でSASの疑いがあると判断された場合、より詳細なデータを取得するために、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を受けることが推奨されることがあります

PSG検査では、以下のようなより広範囲な測定が可能です:

  • 脳波(睡眠の深さを測定)

  • 眼球運動

  • 筋電図

  • 呼吸努力・流量

  • 酸素飽和度

  • 心電図(ECG)

この検査は通常、医療機関に一泊入院して行うものですが、SASの確定診断には非常に重要な役割を果たします

診断がついたら次のステップへ

検査結果と診断が出たら、次は症状の重さや原因に応じた治療方針を決める段階です。

  • 軽症であれば生活習慣の改善やマウスピースなどで様子を見る

  • 中等症〜重症なら、CPAP治療が選択されることが多い

  • それ以外の選択肢(舌下神経刺激療法や外科手術など)が検討されるケースも

重要なのは、「検査して終わり」ではなく、早期に治療へつなげることです。
睡眠の質は日常の生活や健康を大きく左右するため、気になる症状があれば早めのアクションが必要です。

こんな人は早めに検査を!セルフチェック項目

いびき・日中の眠気などの症状リスト

睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくい病気ですが、以下のような症状がある場合は、早めに検査を受けるべきサインかもしれません。

  • 家族や同居人から「いびきがうるさい」と言われる

  • 寝ている間に「呼吸が止まっている」と指摘された

  • 朝起きたときに頭が痛い、だるい

  • 日中に強い眠気を感じる(特に運転中など)

  • 夜間に何度も目が覚める

  • 集中力や記憶力の低下を感じる

  • 肥満体型、首回りが太めである

  • 高血圧や糖尿病などの持病がある

これらの項目に複数当てはまる場合は、SASの可能性が高く、検査の検討が必要です

また、女性の場合はいびきが目立ちにくく、「不眠」や「うつっぽさ」などの形で現れることもあり、見逃されがちです。症状が曖昧でも、気になる違和感があれば専門医に相談してみましょう。

家族に指摘されて初めて気づくことも

SASの特徴的な点として、「本人が症状に気づきにくい」ということがあります。
いびきや無呼吸は睡眠中の出来事であるため、同居する家族やパートナーの指摘がきっかけで検査に至るケースが多いです。

特に一人暮らしの人は、いびきや無呼吸の存在に気づくのが難しく、長期間放置されてしまうことがあります。そのような場合は、スマートウォッチや録音アプリなどを活用して睡眠の質を自己観察することが対策の第一歩となります。

自宅検査はそのハードルを下げる手段でもあります。心当たりのある方は、検査機器を扱っているクリニックや、郵送検査キットのサービスを調べてみましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放置すると日常生活の質だけでなく、健康そのものに重大な影響を及ぼす疾患です。しかし、その発見は難しく、多くの人が「単なるいびき」や「寝不足」と誤解したまま過ごしています。

そんな中、自宅でできる簡易検査は、早期発見への大きな第一歩となります。病院に泊まる必要がなく、リラックスした自分のペースで受けられるため、忙しい人や検査に抵抗感のある人にも最適です。
近年は郵送キットやオンラインでの申込みも充実し、「気になったらすぐに行動できる」環境が整ってきています

また、簡易検査の結果をもとに、必要に応じて精密検査や治療へとスムーズに移行できる点も安心材料です。
「いびきがうるさい」「日中の眠気が気になる」「寝ても疲れが取れない」といった小さなサインを見逃さず、自宅検査をきっかけに健康への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

無呼吸症候群は、放置するほどリスクが高まり、治療に時間がかかる可能性もあります。ぜひ今からでも、自分自身の睡眠を見直す行動を起こしてみてください。


参考・引用記事

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